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1997年02月号 掲載

 
サンタクルス あぶない話4 
関 洋人 (大洲市在住)

消毒液はケチャップの容器に

テープ類は鎖で盗難防止
 まず、消毒液の容器である。そのほとんどが市販のケチャップの容器を使用後に洗剤で洗っただけのものが使われている。絆創膏などのテープ類は従業員が盗み出して他の病院に売りさばくのを防ぐために鎖で回診用のワゴンにつながれている。まるで番犬のようだ。使い捨てのゴム手袋まで繰り返し何度も洗剤で洗って、穴が空くほどボロボロになったものが平気で使われている。さすがの私も、この日本病院の「おおらかさ」には結構驚かされた。
 しかし、こんなことはサンタクルスではまだ序の口だったのである。日本病院の次に行ったサンファン・デ・デウス病院では、検査室のダンボール箱の中に使用後の放射性物質が丸裸のまま捨ててあった。この病院ではシャガス病(南米にみられる南京虫を介しての寄生虫病。原虫が侵入した部分が著しく腫脹する。原虫が心筋に寄生し死に至る例も多い)患者の病棟と結核病棟そして院内感染の主要原因となっている洗濯室を見せてもらった。日本の高名な病院のさる高名な婦長さんがここを訪れ「私は第三世界の病院をいろいろ見学してきたがここほど不潔な所は知らない」と言われたというが、眼前の光景に圧倒された。
 こういった、どう考えても納得のいかない事柄に対して日本人のスタッフがいくら勧告しても「のれんに腕押し、糠に釘」で一向に改善された試しはないという。日本政府はこの地に対しても莫大な税金を使って人的、物的援助を行っているが(海外青年協力隊員一人派遣するのに二年間で二千万円かかる)、このような基本的事項の改善もままならぬのが現実であり、援助というものの難しさを痛感せざるを得なかった。
(つづく)

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