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2006年04月号 掲載

ジュアゼイロ・ド・ノルチ 林の中のレストラン
 
関 洋人 (大洲市在住)

素晴らしかったRESTO JARDIMの料理
 二度目の朝食をとって小憩した後、友人夫妻とシセロ神父の遺骸がある教会へ。教会の周囲の広場はびっしりと露店で埋め尽くされ、ブラジル各地のナンバープレートを付けた大型バスが、ひっきりなしに、巡礼者を満載して到着している。
 露店をひやかすと土産物の主流はもちろん『シセロ・グッズ』ともいうべきものである。シセロ神父を象った焼物から、はてはシセロ印のリウマチ薬まで揃っている。その露店街の片隅でバルバチモンを売っていた。バルバチモンとは、以前「世界まるごとHow much」というテレビ番組で「処女の素(このネーミング自体が意味不明だが)」と呼ばれるアマゾンの秘薬とか銘打って紹介されていたものである。実際は単なる消毒薬以上のものではない。へジーナは、また教会の前で祈っている。友人は「又懺悔か。懺悔すれば許されるって信じてることが、倫理感の欠如に繋がり、ひいてはラテン・アメリカをだめにしてるんだ」などどいう乱暴な自説を披露して、相変わらず冷淡だ。
 昼食は友人の意見に従い郊外の林の中にある「REST0 JARDIM」へ。しかし、店にたどり着くのに散々迷った。タクシーの年老いた運転手は私たちの示したガイドブックの店名と住所を見て、すぐにわかったとばかりに頷いて車をスタートさせたが、着いた先は前夜の最悪レストラン「IGUATEMI」。冗談だろう。どうも、この運転手は字が読めず、耳もよく聞こえないらしい。四度ほど間違えた先で、尋ね尋ねして、やっと目的地に到着することが出来た。
 気持ちのいい、林に囲まれた屋外のテーブルでヒレ・ステーキ、魚のゴヤス風煮込み、サラダの盛り合わせを食べる。味は感激ものだった。
 友人は、肥満を恐れてか、思いのほか食の進まないへジーナに「 Come tudo(全部食べろ)!」と口うるさい。そのへジーナといえば、食べる手を止めて外の景色を眺めていた私を、すぐに「奥さんが恋しいんでしょ」とからかって喜んでいる。食後、へジーナがレストランの庭から勝手に採ってきたシリグェーラやアセロラをデザートがわりに食べる。果物の匂いにたかってきた蝿がうるさいが、当然ながら新鮮でおいしい。
 (つづく)

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