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1999年09月号 掲載 
「大瀬の館」がオープン!
喜多郡内子町 成留屋

森を背にした「大瀬の館」
『万延元年のフットボール』などに 「現在村役場前の広場となっている小台地」などと、しばしば描かれている。
 七月十一日、内子町大瀬の中心地、成留屋地区に「大瀬の館」が完成した。旧大瀬村役場の建物を自在な形式の宿泊施設、ギャラリーとして再生したものである。
 平成八年に成留屋地区では、地域の人々が建築家の吉田桂二氏を囲み、環境や住居、住民意識の調査を行って、地域の将来のまちづくりの指針であるHOPE計画「森と谷間のまちづくり」を策定した。
 今回の旧大瀬村役場の再生も、飾り立てるだけの「表層の豊かさ」を捨て、「大きい懐かしい思いにみちたりておった」深い森と谷間の家々の伝統を、新しい、品格ある美しいかたちに甦らせるという、まちづくりの思想にそったものである。
大江氏の全著作を揃えた部屋
ラウンジにはCDプレーヤーがあり、ベートーベンのシンフォニーや大江光さんのCDなども置いてある。
 運営は地元の人たちによって担われ、今後は地域文化の情報発信の場として、また、さまざまな文化交流の場として活用される。  成留屋に生れ育った大江健三郎氏がノーベル文学賞を受賞したことで、大げさでなく大江氏の文学作品に色濃く立ち現れる大瀬の「むらと森、そして谷間の情景」が世界的な注目を浴びている。成留屋の町のどこを歩いても、ノーベル賞作家の大江氏の生地であることを誇示するなにものも見あたらないが、「大瀬の館」には、一階に大江氏の全作品を展示した部屋があり、二階の小さな書棚にも『懐かしい年への手紙』など大江氏の作品が揃えてある。この地を訪れた人たちに、大江氏の文学を育んだ風土の中で、作品を味わってほしいという配慮である。
 私が、訪れた日はカラッと晴れた日だった。開け放たれた二階の部屋から、子供たちが泳ぐ小学校のプールや、大江文学の舞台になった坂道や家並み、背後の山々が見えた。
 次は、泊りがけでゆっくり来たいと思った。

成留屋の町で

すぐ前の魚屋で焼きさばを売っている

● 「大瀬の館」の利用申し込みは
内子町大瀬公民館 電話0893-47-0102
一泊食事なし 一人三千円 (二人以上の場合、一人二千円)
食事は自炊するか、内子町などでの外食、成留屋地区の商店などで買って持ち込み。必ず予約してください。

 
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