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2007年11月号 掲載 
内子石畳の水車祭












 今年は、11月3日文化の日に内子の石畳で水車祭があると友人が知らせてくれた。当日は地元の人にまじって、屋台のそばやさんで会計の手伝いをしているという。石畳へは何度も行ったことがあるし、牛の峰の登山道の入口にある水車小屋も何回か見たことがある。しかし、今年でもう十年近く続けられているというのに水車祭は知らなかった。せっかくだから、その水車祭に自転車で出かけてみることにした。内子の町並みの中にある傘茶房でコーヒーを飲んでから、論田、河内とゆっくり麓川ぞいの道を登っていく。ようやく秋の気配が濃くなった風景を楽しみながら約三十分ほどで石畳の郵便局のあたりに着いた。案内や誘導の人が立っていて、いつもとは少し雰囲気が違う。どことなくお祭りの賑わいが感じられる。「石畳の宿」の方まで上がると家族連れが何組も歩いて道を下ってくるのに出会い、そのうち、祭りの会場を結ぶマイクロバスにもすれ違った。
 ゆっくり自転車を漕いで会場に着くと、たいした賑わいである。後で聞くと二千人ほどの人がおとずれ、ソバだけで700杯は出たそうだ。おいしい山の空気と、とびきりの快晴のせいか、会場に集った子供たちも、若い家族連れも、お年よりも全ての人々の表情が寛いで見える。友人を探したが、混雑していてわからない。私は混ぜ寿司を買ってリュックに詰め、弓削神社に上がってみることにした。交通の誘導がうまく行っていて、道は細いが車が渋滞などはしていない。弓削神社の屋根付き橋を渡ってお参りし、大師堂のベンチに腰を下ろして寿司を食べた。米も、具の栗もおいしい。しばらく休憩してもう一度会場に下ってみた。ちょうど手の空いた友人がアメノウオの炭火焼きを頬張っていた。私はしばらく友人と話し、お土産にお餅と柚子を買って内子の町に下った。村おこしや町おこしの催しは最近各所で開かれているが水車祭は出色だと思った。会場のスケールと人出のバランスが絶妙だし、交通誘導や案内が行き届いている売られている野菜や食べものなどの質もすばらしい。友人に聞くとリピーターが多いそうである。来年も又来たいと私も思った。

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