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2010年06月号 掲載
第 117 回 久礼と土佐佐賀のカツオのたたき
 
  
  

久礼大正市場の鰹専門店


食堂で食べる鰹のたたき
 たまに、自転車で、窪川(四万十町)に出かけた帰りに、須崎方向なら七子峠、中村(四万十市)方向なら片坂をそれぞれの方向に下って、久礼と土佐佐賀の町によることがある。目当てはカツオのタタキである。
 中土佐町の久礼は、故青柳裕介の漫画『土佐の一本釣り』の舞台。海辺には青柳を顕彰する像が建っている。久礼の土佐大正市場は外見は、化粧が観光地のようになっているが、平日は地元の人を相手にしているせいもあって、観光客も、地元の人と一緒に気軽に普段着のおいしさがタップリ味わえる。カツオは入口のカツオ専門店もおいしいし、田中水産もいい。もとめた魚を、前の食堂に持ち込んで、食べさせてもらうこともできる。薩摩揚げに似た味の久礼の天ぷらや、飛び魚の刺身もおいしい。久礼の町は大きさといい、路地が縦横に走っていることといい、町歩きには実に具合がいい。年を経た民家の表情にも味わいがある。橋をわたったところにおいしいうどん屋さんがあったり、造り酒屋に行き当ったりもする。道をたずねた町の人も飾り気がなく、親切な気がした。


田中水産で。干物もおいしい

久礼のうどん屋さんの向いの民家


久礼の町並み

久礼駅

 土佐佐賀では、カツオのタタキの冷凍ものをもとめる。私は、港のそばの土佐佐賀水産か郵便局の前の舛耕水産のどちらか。不思議だが、冷凍なのにとてもおいしい。東京の友人に送ってみたら、やはり、おいしさが違うと言ってきた。何本か買って冷凍庫に放り込んで置くと重宝する。たれは、舛耕さんのがみりんがきいている。家妻は舛耕派である。もちろん生の日戻りカツオもあっておいしいのは言うまでもない。土佐佐賀には大きな公園があり、中村までの道のりは太平洋の景色も楽しめ、鯨ウォッチングのできる漁港がいくつかある。
 久礼も土佐佐賀も、猫が多い町。予土線からJR、土佐くろしお鉄道を経て、宇和島から鉄道でも行ける。

青柳裕介像。像の下で野良猫や鶏が寛いでいる

土佐佐賀港


舛耕水産。久礼郵便局の前

予土線の車窓から、四万十川長生橋を見る

 
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