四万十川の土佐十和の道の駅まで車で行き、土佐大正を経て、四万十町の窪川まで自転車で走ることがある。朝早く出る時は、江川崎に車を置き、中村まで四万十川のなるべく右岸を下り、中村から土佐佐賀を経て方峠を登って窪川へ出ることもある。窪川でくたびれると、予土線で輪行して帰ることもある。なぜ、目的地が窪川かというと、四国八十八ヶ所霊場の三十七番札所岩本寺に近い、「八笑人」で蕎麦が食べたいというのが大きい。
　ご主人は、石臼で自分が挽く蕎麦粉へのこだわりはもちろん、つゆ、天ぷらなどにもそうとう気をつかわれているようだ。しかし、客に対しては、能書きも言わず、少しの気取りも見せず、押しつけがましさのかけらもない。蕎麦通ではない私には、それもうれしい。ご夫婦のおっとりと、あたたかい応対で、安心して蕎麦のおいしさだけを味わうことができる。量がしっかりあることもいい。蕎麦掻きも無類においしい。ほくほくと熱々を、ワサビ醤油で食べる。蕎麦掻きは、よそでもたべるが、調理のタイミング、火の入れ方のせいだろうか、理由はわからないが、ここのものを、うまいと思う。最近、天ざると天ぷら蕎麦、かき揚げ丼セットなどもメニューに加わった。