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2000年09月号 掲載 

坂倉準三の西条市体育館とガソリンスタンド 
 
 


 先月、もうすぐ取壊される西条市体育館を紹介した。やはり、坂倉の作品の鎌倉の神奈川県立近代美術館は一度取り壊されることになっていたが、覆って保存されることになった。「危険立入禁止」の札が掛かる西条市体育館はやはり取り壊されるようである。
 一九六一年九月号の新建築に掲載された「西条市体育館」の記事に坂倉準三建築研究所の担当者井上尭氏が設計方針について寄稿している。吊り屋根構造を採用した理由について、巨大な空間が得られること、技術的に新しい方法を試みられること、ブラスチック材や、ハイテンションの鋼材、アルミの構造材など新しい材料が使用可能になったことを挙げている。そして、屋根版は現場打設せず、仮設、型枠工事費を節約するためにプレキャストコンクリート版を使用したと書いてあった。施工は清水建設で、困難な事態もなく無事竣工したとのこと。竣工当時の写真を見るとやはりすばらしい建築である。コルビジェの弟子として、建築史に残る仕事をしたのはやはり丹下健三であると建築史家藤森照信が言っている。その丹下健三がコルビジェの事務所に八年間勤めた坂倉の所に通いつめてコルビジェの話を聞いたという。丹下は「コルビジェそのもの」といわれた坂倉を通してコルビジェを学んだというのである。



 松山市の大手町、愛媛新聞の前にある出光興産の給油所もその坂倉準三の設計である。スタンドの人に聞くと、何回も改装されているとのことだが、屋根や事務所横の階段など基本的な線は維持されているようだ。機会があれば見ていただきたい。
 
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