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1998年07月号 掲載
第 18 回 無農薬、無添加のお茶を飲む
田所製茶場 
高知県梼原町1328 
TEL0889-65-0588 

梼原川を見下ろす山裾にある梼原町川口の茶畑


田所製茶場の店舗で。田所春男さん、良子さんご夫妻
工場は裏手にある。田所製茶場の無農薬栽培のお茶は煎茶、番茶のほかに、お抹茶もある。

田所製茶場/高知県梼原町1328
電話0889-65-0588
煎茶 100g800円、番茶 300g 1,000円
(郵パックで送ってもらうことができます)




今年、最初に摘んだ茶葉でつくった煎茶(右)と番茶。
 新茶の季節が過ぎようとしている。ふだんからお茶好きの私ではあるが、五月から梅雨明けにかけて、新茶が出まわるこの季節には、朝起きたてに、夕食の後に、つい、いそいそと自分でお茶を入れてしまう。
 今年は高知県梼原町田所製茶場のお茶を楽しんだ。田所製茶場は国道一九七号線から梼原町の商店街に入った郵便局の先、農協のすぐ近くにある。田所春男さん、良子さんのご夫妻が、先代の始めた自然でおいしいお茶づくりを続けている。
 梼原町の農家は昔から、山すその棚田の脇の小さい茶畑で、自家用に、農薬も除草剤も撒かず、ごく自然なやり方でお茶をつくってきた。手をかけないから、茶葉も大ぶりで、みかけはそれほどきれいではない。しかし、薬品らしきものは一切使わぬ、純粋で自然な香りと味わいを持った茶葉である。田所さんは、その無農薬の茶葉を仕入れてお茶を作るのである。無農薬のお茶は、木を守るために、一番茶しか摘まないから、つくる量は決して多くない。茶葉を蒸す釜も、容量が二十五キロのが二つあるきりで、製茶機械も一番古い形のものだ。最近のコンピューターで制御するタイプではもちろんない。室温が四十五度にも上がろうという中で、田所さん夫妻が汗を吹き出しながら、自分の手で、出来上がり具合を確認しながら、蒸し上げ、乾燥し、揉捻する。
 その田所さんの緑茶を、今日も、一服する。気持がたいへん和らぐ。すがすがしい茶葉の香りと味がそのままに生きているのである。少し焙じたものもある。茶は、やや赤い色に出る。農家が自家用に作る釜炒りのお茶と同じ味わいだ。胸がすっとし、気分が引き立つ。ごはんに、よく合うお茶である。
 なぜ、田所製茶のお茶はおいしいのだろう。まずもって、先代から受け継いで四十年の間、ずっとお茶を作り続けてきた田所さんの経験と技術であろう。また、一つには、使われる茶葉が、四万十川源流の梼原川を見下ろす山裾の小さな茶畑で、自然のままに作られたものに限られることでもあるだろう。
 質実醇乎たる梼原人の気風をそのまま味わうようなお茶である。
 
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