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2002年01月号 掲載
第 51 回 檮原のピザ 
ギャラリー&カフェ てんぐの風 その2 
高知県高岡郡檮原町 
TEL0889-65-1192 
カフェはもと診察室

竹炭とハーブが入った美味しい水
 何カ月か前に、自家製のパンとコーヒーを味わって、次はピザを試したいと書いた「てんぐの風」に出かけた。まず前回の誤りを訂正する。お腹が空いていたせいでもあるまいが、建物について、よく見もしないで、幼稚園か公民館のようだと書いたが、そうではなくて、以前は医院の建物であったそうだ。ギャラリーとして使われている玄関ホールを注意深く見ると、会計の窓口と薬を出す窓口がそれぞれ、そのまま残っている。長い間、医師不在のまま空き家になっていたそうだ。檮原町の工房で和紙を漉いているギャラリーのご主人が「もし、ぼくたちがここを借りて使わなかったらもう少しで建物がだめになるところだった」と話していた。天井や壁は漆喰で左官仕事が美しい。決して贅沢ではないが、建てた人の心のゆとりを感じさせる建築だ。新築された当時は、保存されている旧村役場の建物と同じく、山の村にはめずらしいモダンな建築であったに違いない。

美味しいピザ
 さて、ピザである。診察室であったと思われる手前の広い部屋に入った。ストーブの上の赤いやかんが湯気を立てている。今日は若い女性が出てきて注文を取ってくれた。トマトとカマンベールのピザにする。奧の部屋でも何人かの人が談笑している気配がする。ガラス越しに明るい陽射しが通ってくる席に腰を下ろした。部屋の壁や天井にはご主人が漉いた和紙が貼ってある。その微妙で落ち着いた風合いが心地よい。


玄関ホールを活用したギャラリーには手漉きの和紙やその和紙を使った照明器具、住宅の床の間や茶室の壁などに貼って使うために自然の材料を混ぜてさまざまな色や風合いを出した建材用の和紙なども展示してある。
 ピザは期待に違わずおいしかった。生地は厚みがあり、ふんわりとした食感がある。それでいて、パリッとした焼き上がりだ。塩味もほどほどで、量も食べ応えがあった。奧では何人かが、ピザとパスタをいろいろたのんで取り分けては食べているようだ。私もぜひパスタを食べたいところだが今日も一人。これは次のお楽しみにとっておこう。最後に、ギャラリーのご主人も奥さんも、とても感じのよい親切な人であるということを書き添えておきたい。駐車場は檮原町役場のを使ってよい。歩いて一分もかからない。
 
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