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2004年03月号 掲載
第 67 回 城川町 志津のチャンポン 
志津 
城川町大字嘉喜尾国道197号線杉の瀬バス停近く 
定休日/土・日・祝日 

チャンポンは野菜がたっぷり、具だくさんスープがおいしい。
 当社のK氏はコロッケとか家庭的な、気取らぬ食べ物について、なかなかうるさい。 そのK氏が、いつか私にコロッケ定食のおいしい店をすすめてくれたことがある。 ところが、期待して出かけたその店のコロッケは、はっきり言うとそれほどではなかった。 昼ご飯としては値段は安くないし、うちで作ったコロッケや、近所の肉屋さんのコロッケの方がずっとおいしい。 その店のコロッケは悲しいことに「なんだこれは。でも、まあいいか」という味だったのである。 K氏にそのことを申し上げると、少し顔が曇った。 そして、「うーん、まあ、そういうな。うまかろうが。 わしは好きなんよ。あのコロッケが」と言ったかと思うと、急にニコニコしながら「それやったら、志津のチャンポンがうまい。これは絶対にうまい」と話題を一変してしまった。 場所は、野村から下った県道と国道一九七号線がぶつかる信号の少し先らしい。 「じゃあ、そのうちに行ってみます」と言って別れた。 しばらく日が過ぎて、又会社の若い社員の一人が、城川の志津のチャンポンがおいしいと教えてくれた。

店内。コメディアンの車だん吉さんも志津のチャンポンの大ファン。

城川町の国道197号線に面した食堂、志津
こんなことはめずらしい。K氏の推薦には少しばかり疑問を感じないわけでもなかったが、たまたま城川に行く機会があったので立ち寄ってみることにした。前置きが長くなってしまったが、志津のチャンポンはほんとうにおいしかった。野菜やかまぼこ、ちくわ、イカゲソなどの具が山盛り、スープはあっさりした食べ飽きない味だ。これなら繰り返し食べたくなる。麺もいける。チャンポンは大衆的で、親しみやすい味だが、おいしく作るには、なかなか手が掛かる。「志津」は鶏ガラのスープがベース。肉を炒め、野菜を加えてまた炒め、鍋にスープを注ぎ、最後に麺を入れる。松山や八幡浜からも「志津」のチャンポンを食べに来る常連のお客が少なくないそうだ。  少し昼に間があったので店内に他の客はいなかった。店のおじさんが机の上に、番茶と新聞をおいて「温こうなりましたな」と声をかけてくれた。土日祝祭日は休み。
 
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