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2004年01月号 掲載
第 66 回 宇和島のフランス料理Le Violon d'Ingres 
Le Violon d'Ingres 「ヴィオロン ダングル」 
宇和島市鶴島町 
TEL0895-26-2344 

今日食べた、子羊のカレー風味。口の中でとろけるような子羊の肉。 添えられたお米の茹で加減もとてもよかった。
 在オーストラリア日本大使館で腕を振るっていた若いシェフが帰郷して開いた店だ。
 開店当時に一度、二ヶ月くらい経ったときに一度出掛けた。いずれも昼食で運転をしてくれる友人と一緒だったから少しだけワインも飲んだ。店のインテリアはシンプルで落ち着いていて、料理の味がとてもよい。折り目が正しく、切れ味があると思った。二度目に行ったときは鳥料理の肉が鴨、一度目がホロホロ鳥だった。勘定はリーズナブル、というか、昼のみんなが食べる定食料理に盛り込まれた技と誠意、材料の質を考えると頭が下がる金額だった。それから、友人知人に、宇和島に行く機会があれば少しぐらい無理をしても、食べに行くようにすすめているが、行った人は、口をそろえておいしかった、また行きたいと言う。

パンも自家製。おいしい。

鴨の薫製のサラダ

デザート
 わが地方のフランス料理を名乗る店には、もちろん例外もあるが、仰々しく、敷居も勘定も高いくせに、食べてみると鈍い、だれた料理を出す店が多い気がする。いつも懐が淋しい私のひが目かも知れぬが、出費を覚悟して食べた後、口ほどでもないなとがっかりすることが多かった。しかし、この店では、まちがいなく食べる幸せを感じることができる。ワインのことは知らないが、一番安いローヌのワインをリストから選んで飲んだら、ワイン好きの友人がほめた。夜に予約をして出掛けるのもよいし、気軽に昼食を楽しむのもいい。おいしいものはおいしいのだという単純な理屈がうれしく身にしみる店である。 店名の「ヴィオロン ダングル」は、アングルのバイオリンということ。画家のアングルがヴァイオリンの名手だったことから、専門外の素人でも玄人ほどうまいという謎をかけている。
 
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