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2009年07月号 掲載
第 112 回 春光亭のラーメン
松山市井門(いど)町489-8
春光亭  
昼は11時半から午後2時まで、夜は午後6時から8時まで
定休日は火曜日
電話 089-957-1125



 ラーメン好きのYさんが、「春光亭のラーメン食べたことあります」と聞いた。店の名前を聞いたこともなかった。一人で店を切り盛りしている青年が、スープに、すごいこだわりを持っていて、食品添加物や化学調味料のたぐいは一切使わない。苦心の成果か、そのスープは淡泊だが、こくと旨味があり、麺は細からず、太からずスープの味が絡まる具合のよいふとさ、とにかくうまいのだそうだ。場所は国道33号線、高知に向かって右側高速松山インターのほんの少し先を入って2軒目。セルフのガソリンスタンドの向い側。  しばらくして、出かけてみた。眼鏡をかけたやせっぽちで、気のよさそうな青年がカウンターの中を飛び跳ねるようにして、いそがしく動き回っている。モダン・ジャズが低い音量で流れる店内には客が数人いた。チャーシュー麺・煮玉子入りを注文。青年は、一人なのに客が食べ終わって勘定をすませ店を出る時には、必ず入口のところまで行ってを見送り、挨拶をしている。少し弱々しくか細い声だ。「ありがとうございましたぁー」と語尾が上ずる。しばらくして、「もうしわけございません。たいへんお待たせいたしましたぁー」といいながら青年がラーメンをカウンターに置いた。少し離れてから「チャーシュー麺、煮玉子入りー、ごゆっくりどうぞぉー」。こちらが一瞬緊張するほど丁寧だ。早速食べてみると、Yさんがすすめるだけのことはあって、とてもおいしかった。しつこくない。しっかりした味だ。チャーシューや、メンマなど具も吟味され、量も堂々としていて、食べたという満足感もある。私もすっかり、この店のラーメンのとりこになって、松山に出かけ、帰りの時間や昼に高速にさしかかるとつい立寄る回数が増えた。後味が良いので繰り返し食べても飽きない。一度チャーシュー麺の大盛りを食べた。チャーシューも正直な大盛りで、迫力があった。基本があっさりしていて、食材がよく吟味されているからお年寄にも食べやすいラーメンだと思う。一度、お孫さんのような女性とラーメンを食べたおばあさんが、出口で「おいしかったよ。がんばってね」と青年に声を掛けていたのを見たことがある。

 
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