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2007年06月号 掲載
第 100 回 尾道再訪
 
  


浄土寺多宝塔

西郷四郎終焉の地



『一楽』のチャーシュー、餃子
住所/広島県尾道市久保2-10-12  電話/0848-37-5862
営業時間/正午~午後2時、午後5時~午前0時
定休日/日曜日、祝日

『朱華園』のチャーシュー麺

喫茶店のモーニング


 しまなみ海道が全通して、また尾道が近くなった。一泊で出かけて、久しぶりに浄土寺に参拝した。以前に来たときには気づかなかったが、寺に登る途中の坂に富田常雄の『姿三四郎』のモデルとされる西郷四郎終焉の記念碑があり、銅像が建っていた。浄土寺には、国宝の鎌倉建築の本堂や多宝塔、そして、すばらしい茶室と庭があるが、山陽本線や海を見下ろす境内の雰囲気が私は好きだ。小津安二郎の『東京物語』の撮影にも使われた寺である。市内のはずれにあるせいであろうか、観光客の多くが千光寺のロープウェーを上がり、ラーメンに行列するだけで帰ってしまい、なかなか、ここまではやって来ないのだと寺の男の人が話していた。  宿は駅の山側のビジネスホテルである。晩ごはんは、ハッピー・久保という飲屋街の中にある、「一楽」という中華屋さんに入った。お客は近所のおばあさんが1人、奥のテーブルで子供が勉強をしている。ビールを飲みながら、餃子、チャーシュー、鳥肉の炒め物などを食べ、中華そばとちまきで終わった。朱華園もいいが、相変わらずの行列である。この店は味も良く、気軽でいい。翌朝は喫茶店でモーニングを食べた。これがホテルの朝食よりよほどいい。尾道は喫茶店も充実していて、町歩きの足を休めるのにもこまらない。坂を上って志賀直哉の旧居を訪ねたり、海のそばの露地を歩いて、小さな文房具屋をひやかしたりしていると、知らぬ間に時間が過ぎて行く。

 
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