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2003年12月号 掲載

 
マナウス(ブラジル・アマゾナス州) 
関 洋人 (大洲市在住)

マナウス、アマゾナス劇場のある中心市街地
 夕方、ピラーニャ釣りからホテルに帰り一休みした後の夕食は野外でシュハスコ。サンパウロで、マナウスはとにかく蒸し暑いとさんざんに聞かされてきたが、真夏の大洲盆地の蒸し暑さに慣らされている私には格別のこともない。それどころか、マナウスの中心から十二キロも離れたネグロ河畔にあるこのホテルは夜になると涼しい川風が吹いてきてなかなかしのぎやすい。食事はなかなかおいしく食も進んだ。食後に勘定をすませるのに三十五分もかかったのにはげんなりしてしまったが。
 翌朝一月二日は六時に起床。朝食後、チェックアウトの際に身に覚えのない電話代やソフトドリンクの代金が加算されていて一悶着。中南米では茶飯事だが疲れる。ホテルを出てブラジル陸軍のレインジャー部隊が訓練中に捕獲した動物を集めて飼っているという動物園へ。アンタ(貘)、オンサ(黒豹)、アナコンダまでいる。いったい何の訓練をやってるんだろう。動物園の次はセントロにあるアマゾナス劇場へ。これは十九世紀末のほんの一時期のゴムブームで巨万の富を築いたゴム商人が建設したものだ。わざわざヨーロッパから大理石や調度をとりよせた豪華な客席が千二百もある劇場である。当時の金持ち達は、お札で煙草に火を付け、洗濯物をわざわざヨーロッパまで送っていたという。ゴムブームが去った後、町は一旦寂れかけたが、現在ではブラジル唯一のフリーポートに指定されたために数多くの外国企業(日ホンダ、ヤマハ・パナソニックなどの日本企業も多い)が進出して活況を呈している。人口が優に百万を越える大都会に発展しているのである。アマゾンというと巨大な河と果てしなく続くジャングルだけを連想する人が多いが、アマゾン流域には二千万人の人々が暮らし、百万都市が二つもある。
(つづく)

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