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2006年11月号 掲載

イキトス(ペルー・アマゾニア)
第 2 回 モトカーロ
関 洋人 (大洲市在住)

- モトカーロ -
 タラップを降りて、空港の建物に向かって歩く。飛行場の片隅にかなり長い時間放置されたままになっているらしい朽ち果てた旅客機が見える。突然、ドクトルが、今私たちが降りたばかりのタラップの方を指さし、「あれを見ろ!」と叫んだ。振り返ると、タラップの下では数人に、黒い鈍色に光るものが手渡されていた。ピストルだ。搭乗時に預かっていたものを返しているらしい。治安がよいといいながら、ここもやはりペルーなのだ。
 空港からセントロに近いホテルに向かうタクシーの窓から外を眺めると、イキトスの道路の主役は車ではない。道路の大半を制しているのは、「モトカーロ」と呼ばれる乗り物である。三輪のオートバイの後方を改造して、数人が乗れるように座席をつけ、幌をかけたものだ。後で何度も乗ることになったモトカーロは、多少エンジン音がうるさいが、熱帯の風が心地よく全身を包んで結構いい気持ちだ。
 ホテルに着くと、玄関の前に立っていた男が近づいてきた。チブレ(ジャガー)の皮を買わないかと言う。二十ドルだそうだ。構わず、中に入ってチェックインをすませる。
(つづく)
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