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2006年03月号 掲載

ジュアゼイロ・ド・ノルチ 
 
関 洋人 (大洲市在住)

集まってきた子供たち
 四時に目が覚める。外が明るくなるのを待って、また一人で散歩に出た。例によって、朝の祈りの声が流れるドブ臭い街路を、メルカド(市場)に向かって歩く。野菜や果物を積んだ馬やロバが次々と私を追い越していく。メルカドの近くに来たとき、突然二人の男に大声で呼び止められた。彼らの言葉は、癖の強いノルデスチ(ブラジル北東部)訛のせいもあって、よく聞き取れない。papel(紙)とかlapis(鉛筆)とかなにやらグチャグチャ言っている。一向に意味が解せなかったが、しばらくして、やっと解った。彼らは、私がこの辺りを、時々ポケットから手帳を出して、メモを取りながら、うろついているのを見て、こいつは、いったい何をしているのだろうかと興味を持ったのであった。私は自分が日本からの旅行者であることと、帰国後、今回の旅についてまとめるために見たことを忘れないようにメモしているのだと言うことを説明した。納得した二人としばらく世間話をしてメルカドに入る。前夜、ろくろく食べてないために空腹だったので、リヤカー一台でパンとコーヒーを売っている屋台で軽く食事。傍でヨーヨーをしている子供がいたので写真を一枚撮った。すると周囲から次から次に子供たちが集まって来た。並んでポーズを取る。写真を撮った後もしばらくくっついて離れない。彼らが去った後、ホテルに戻り、二度目の朝食を取る。
 (つづく)

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